はいさーい
HAMANAKO-BASEの宮城です。
つい先週末辺りから浜松は本格的に風が強くなって参りました!
水仕事をしている身としては辛い季節になりました。
いつも仲良くさせていていただいている伊勢シーパラダイス様より
以前弊社よりお分けしたホワイトシーホースが稚魚を産んだのでお分けしたいとの嬉しいご連絡を頂きました。
7月にオーストラリアから遠路はるばる来てくれた子たちが産んだのです。
片道3時間ほどかけて行って参りましたよ~。
色々と写真を撮り忘れたのですが、相変わらずのタツノオトシゴパラダイス!
稚魚の種類も数も多くタツノオトシゴ好きにはたまらないですね!

タイガーテールシーホース🐯

ゼブラスナウトシーホース🦓

そしてこちらがホワイトシーホースの赤ちゃんです。

みんな黒いのに何故”ホワイト”シーホース?と思うかもしれませんが。
名前のホワイトというのは体色を指しているのではなく、ホワイトさんという方が初めて
世界に紹介したことから付けられたそうです。
ちなみにシドニーシーホースと呼ばれていることもあります。
呼び名はいくつかありますが学名がHippocampus whiteiですのでホワイトシーホースが一般的。
特徴としては他のタツノオトシゴと違いギョロ目でとても可愛い!
そして生息域がひじょ~~~~~~~に限られていて
オーストラリアのサウスウェールズ州に流れる9つの川の河口域にのみ生息しているレアなタツ。
範囲で言うと南北に300㎞ほど。
そしてそして9つの河口域それぞれの個体群は互いに独立しているため、
生息個体群間同士の遺伝的交流はないとのこと!
どういうことでしょうか。
「個体群は互いに独立している」とは?
- 9つの河口近くに住む群れ(個体群)は、
場所ごとにバラバラで行き来しないということ。 - ホワイトシーホースは回遊しないし、海流に乗って長距離を移動しないため、
ある河口域に住む個体は基本的にその周辺で一生を過ごす。
「個体群同士の遺伝的交流はほとんどない」とは?
- 隣の河口に行って別の群れと交雑(交配)する機会がほぼゼロなので、
**遺伝子が混ざらない(=遺伝的孤立が起きている)**ということ!
その結果どうなるかといいますと?
- 河口ごとに微妙に遺伝的特徴が違う「地元適応」のようなことが起きる可能性もある。
- 遺伝的交流がないと、
環境変化や病気に弱く、絶滅リスクが高まりやすい。
よく血統書付きの犬猫は雑種よりもあらゆる病気のリスクが高いと言われますが
それと似たような感じです。
タツノオトシゴ自体か弱いですが更に…という種類でございます。
現在日本国内でも飼育されていることはかなり少ないかと…
とは言いつつも、個人的には成魚の飼育自体難しいイメージはございません。
というのも同じオーストラリアの代表的なタツノオトシゴである
ポットベリーシーホース(Hippocampus abdominalis)と生息環境が似ているというのもあります。
水温が20℃を下回るので病気になりにくいという点が一番大きいかもしれないですね!
ちなみにこちらが成魚が飼育展示されている水槽です。


HAMANAKO-BASEで飼育している個体よりも大きい!
伊勢シーパラダイス様はタツノオトシゴの餌は基本的に活餌を与えているのもあるのだと思います。
私たちは冷凍餌を与えるようにしているので成長は比較的スロ~です。
HAMANAKO-BASEでも早く繁殖してくれると嬉しいなぁと思います。

稚魚をパッキングしたらすぐに浜松に戻ります。
しかしタツノオトシゴの稚魚は空気を吸い込んでしまったらほぼ助かりません。
浮袋が過剰に膨らんでしまい、浮力調整が出来ず上手く泳げなくなるのです。
かといって過剰に吸い込んでしまった空気を自力で吐き出すこともできません。
なので通常とは違い空気の層を無くして海水100%のパッキングです。
こうすることで空気の吸い込みと水面への張り付け(表面張力)を軽減できます。

事前にパッキング用の海水に酸素ボンベで直接酸素を溶け込ませます。
以前東海大学海洋学部の秋山教授に教えていただきました。
伊勢シーパラダイス様でも場合によっては同様の方法を用いているそうです。
運よく渋滞に掴まることもなく3時間ほどで浜松に戻ることが出来ました。

一晩かけて水合わせ!
1匹でも多く成魚にしてみせるぞ!
今回もここまで読んでいただきありがとうございました!
ではでは~
